
トケラウ(Tokeleu)という島をご存じだろうか。南太平洋に浮かぶニュージーランド領の島で、面積はたったの10平方キロメートル、人口は約1,300人である。実はこの島の名前を取ったドメイン、.tkは世界的に有名なのだ。
Dot TK
よく無人島を使ったテレビ番組のロケでは背景として使われるトケラウ。そこに行こうと思うと、アメリカ領サモアから西サモアまで小型飛行機で飛び、そこで2週間ボートが来るのを待つ。それからボートで48時間かけてトケラウの近くまで運んでもらうが、さらにそこからトケラウまではカヌーで行かなければならない。
そこまでしなければ行けないトケラウだが、そのドメイン.tkの使用頻度は、ドイツ(.de)、英国(.uk)に次いで、世界で3番目なのだ。ドメイン数は900万を超えている。
こうなったのは、オランダ人、Joost Zuurbier氏のお蔭だ。Zuurbier氏は、2000年頃、フリードメインの発想を得て、2001年にトケラウの名を取って.tkを作ろうと思い立った。しかし、道は困難を極めたのだ。
なぜなら、いくらドメインの話をしても、トケラウの人々は、ウェブサイトなど、見たことが無かったからだ。また、インターネットのIPアドレスやドメイン名を管理する非営利団体ICANNが、トケラウが実在するのかどうか疑ったのである。
双方を何とか説得したZuurbier氏は、2週間かけて衛星装置を携えてトケラウに向かった。荒波の中、装置を濡らさないようにするのは至難の業だったに違いない。そして、2006年にようやくフリードメイン.tkが始まった。こうして現在に至る.tkだが、最近の人気にはすさまじいものがある。毎月100万ずつドメインが増えているそうだ。
.tkは、GDP最下位のトケラウに、ドメイン収入をもたらしただけでなく、コミュニケーション手段をもたらしたのだ。今やそこには、4本の電話線と120台のコンピュータがある。
地図を見てもほとんどどこにあるか分からない小さな島、トケラウ。そこにこんな大きなビッグチャンスがあったとは驚きである。人が目をつけない所に目をつける。それが、ベンチャー企業の真骨頂かもしれない。
タケロウDot TK