
パワースポットが大はやりだ。言わずとしれた清正の井戸や、芸能人で有名になったセドナなど、多くの人々が押しかけているようだ。しかし、関係者には複雑な表情がうかがえる。
*鞍馬寺本殿
京都のパワースポット
京都でも、パワースポットが続出している。たとえば、鬱蒼とした森に囲まれた、1200年の歴史を持つ「鞍馬寺」。本殿前の広場に六角形の石畳があり、中央の三角形の石に立つと力がみなぎるとされている。実はこのパワーストーン、同寺の教えを表現して、30年前にできたばかり。信者は踏まないのに、多くの一般人は、テレビで見た芸能人の真似をしてその上に立つ。
また、平安の陰陽師、安部晴明を祭る「晴明神社」のクスノキに触るとパワーが貰えるらしい。さらに、賀茂川と高野川の合流地点、左京区・出町柳近辺の「デルタ地帯」には、強いパワーが潜んでいるという。
パワースポットを求めて押しかける人々を見て、京都の寺院関係者は、「パワーを貰ったからといって急に能力が備わるわけではない。オカルトや超能力信仰につながるのでは」と危惧している。鞍馬山博物館の関係者も「パワーを貰うだけでなく、仏の心に関心を持ってほしい」と語っている。
パワースポットに行く人は、清々しくなるのはいいが、真の問題解決にはならないと肝に銘じておくべきかもしれない。
鞍馬寺晴明神社