
年齢の高い人間にとっては、若者のイメージは、「野放図」「冒険」「後先を考えない」「ハチャメチャ」などであった。バブル時代、クラブに入り浸り、踊り明かしている若者の姿が、よく見受けられたものだ。
ところが、今現在、日本の若者のイメージは大きく変わろうとしている。
『嫌消費』世代
『嫌消費(けんしょうひ)』という聞き慣れない言葉。「『嫌消費』世代の研究」(東洋経済新報社)の作者、JMR生活総合研究所代表松田久一氏によれば、「たとえ収入があっても、何らかの嗜好で消費しないこと」であり、『嫌消費』世代は、80年前後に生まれた、20代後半のバブル後世代とのことだ。
特徴は、お金があっても服はインターネットで安く買いそろえ、クーポン券を使ってカラオケやレストランへ行く。外食よりウチご飯を好む。アルコールを飲まない。車を買わないなどである。
時代背景には、「阪神・淡路大地震」「地下鉄サリン事件」「金融ビッグバン」などがある。10代でこのような大事件を経験し、将来への不安を持つ一方、学校ではいじめ問題を体験した。いじめへの対処から、彼らの中では、めだたず、深入りせず、人の顔色を読む傾向が高まった。その結果、彼らの消費マインドは抑えられたのである。
『嫌消費』世代が中心になっていくと経済はどうなっていくだろうか。何しろ、消費そのものが嫌いなのだから、消費経済を基に成長してきた日本経済にとっては、大変な脅威になる可能性がある。
しかし、彼らは賢い消費者でもある。クールでコンパクトな消費スタイルは、エコロジー的にもグッドではないだろうか。日本経済は、大きくシフトする時期に差し掛かっているのかもしれない。
松田久一JMR生活総合研究所