
ファッションと文化の先端をいく六本木ヒルズ。この街はエネルギーについても先端をいくのであった。
六本木ヒルズの発電システム
六本木ヒルズの地下1階には、1万平方メートルにわたるガスタービン、蒸気ボイラー、吸収式冷凍装置からなる大規模熱電供給システムがある。発電能力は、3万8660キロワットで、温熱・冷熱に対応。普段は、森タワー、レジデンス、テレビ朝日の冷暖房用冷熱、給湯用の温熱をまかなっている。
燃料は、電力ではなく、都市ガスである。そのため、計画停電、電力不足の影響をまったく受けない。逆に、今回の大震災後、3月18日から4月30日までの間、余った4000ワットの電力を東京電力に送り続け、電力不足を補ったのだ。
都会の中心にあるため、環境にも配慮。ガス燃焼で生じる排ガスを、三元触媒を使った装置で処理し、窒素酸化物や硫黄酸化物の排出を抑えている。都市ガスを燃料とする高効率発電により、二酸化炭素の排出も少ない。
見た目にも配慮している。排ガス中に蒸気が多いと、煙と間違えられ、火災と思われることから、排ガスの温度も調整しているとのこと。万が一都市ガスが使えなくとも、灯油で動くというから心強い。
森ビルは、六本木ヒルズを開発する時、「逃げ込める街」をコンセプトにして、約100億円の発電システムを設置したという。その結果、大震災にもびくともしない街ができあがった。今にして、その先見の明には驚くばかりである。
六本木ヒルズ