
政治の世界は変わり身が早い。リビアのカダフィ政権は崩壊し、欧米各国は、これでリビアの民主化が進むと喜んでいるようだが、実は、かつて米CIAとカダフィ政権は協力関係にあった。
緊密な協力関係
この衝撃的な事実を発見したのは、国際人権団体、ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査員。リビアの情報機関本部から、CIAとの緊密な関係を示す文書を見つけたのだ。ブッシュ政権の時、テロ容疑者をリビアに移送して尋問させていた。その代わりに、リビア側は、反政府勢力幹部の身柄受け渡しを要求。CIA高官も協力を約束していた。この文書には、英情報機関MI6との関係を示す内容も書かれていたという。
イラクのサダム・フセインもイランと戦争をしている時は、米国が支援していたし、アル・カイダのウサマ・ビン・ラーディンもアフガニスタンで米CIAの援助を受けていた。昨日の味方が今日の敵になるのは、国際政治にはよくあるのかもしれない。こうして見ると、カダフィ政権も、米国のパワーバランスに翻弄されたのだろうか。まだ逃走中のカダフィ大佐の歯ぎしりが聞こえてきそうである。
リビアヒューマン・ライツ・ウォッチ