
米国の資産家が次々に海外移住するというニュースがある。いったいなぜなのだろうか。また、我が国ではどうなっているのだろうか。
*写真はニュージーランド
海外移住
米国税局の統計によると、2012年第1四半期だけで500人近い米国人が海外移住をしたという。その大部分は資産家らしい。米国では2008年以降、米国籍または永住権を放棄するケースが増え続けている。原因は、オバマ政権下で、富裕層への増税が見込まれるからのようだ。国税局が海外の預金口座を取り締まるようになり、海外在住の米国人が国籍を放棄するケースが増えたのだ。
一方、我が国では「環境移住」する動きが始まっている。「環境移住」とは、環境汚染や自然災害、食糧不足などを避けるために、海外に移住することをいう。東日本大震災後の日本で将来の環境に不安を覚え、海外に移住する人々が増えてきているらしい。大企業経営者や富裕層の人々が実行に移しているようだ。たとえば、HOYA株式会社の鈴木洋CEOはシンガポールに仕事の拠点を移し、株式会社ベネッセホールディングスの福武總一郎会長は既にニュージーランドへ移住といった具合だ。これらの富裕層には、「環境移住」プラス節税という意識が高いようだ。
大震災後1年をまもなく迎える日本。いまだに復興には時間がかかり、増税の声も聞こえ、米国と同じように富裕層が国を捨てかねない現状だ。本来、多くの税金を納めるべき富裕層が流出すれば、増税は残された庶民がその分を負担することになるのだろうか。何ともやり切れない思いに駆られる。
HOYA株式会社株式会社ベネッセホールディングス