
英国では、遺伝子操作されたウィルスが心臓治療の新治療法として脚光を浴びている。
心臓を治すウィルス
英国インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者たちは、心臓病患者には、SERCA2aというタンパク質の量が少ない事に気づいた。そこで、このタンパク質を増やすよう指示するウィルスを遺伝子操作して作り上げた。臨床実験は、このウィルスを200人の患者に注入して行われた。
その結果、患者たちの心臓がかなり良い状態にまで回復したという。英国心臓財団のピーター・ワイスバーグ教授によれば、薬剤でも心臓病を軽減できるものの、現在患者の心臓機能を回復させる方法はないという。この遺伝子療法は、弱った心筋細胞の機能を向上させることを目的としており、薬剤とともに使用すれば、将来の心臓病治療に大きな効果を与えるそうだ。
遺伝子操作されたウィルスによって治療するという画期的な療法。まだまだ臨床実験が必要なようだが、75万人以上の心臓病患者を抱える英国では、多くの研究者たちが熱い視線を送っている。
インペリアル・カレッジ・ロンドン英国心臓財団