
ヨーロッパの小国リヒテンシュタインは、タックス・ヘイブン(租税回避地)の一つで、世界の富裕層の資産が集まっている。情報開示に協力しないという事で、2002年にOECD(経済協力開発機構)で問題になっていた。ところが、リヒテンシュタインの銀行員が持ち出した顧客口座リストを、2006年にドイツの連邦情報局が400万~500万ユーロ(7~8億円)で買い取ったため、日本もその情報の恩恵を受ける事になった。
*リヒテンシュタインの旗
帝京大学元総長の遺産
ドイツ当局の情報により、国税庁は、一昨年亡くなった帝京大学元総長の遺産がリヒテンシュタインの銀行口座にプールされている事を把握した。その結果、遺族の帝京大学理事長らは、15億円の申告漏れを指摘され、過少申告加算税を含め、4億円の追徴課税処分を受ける事になった。
国税当局には、他にも多くの日本人口座情報が寄せられており、個々に税務調査を進めている模様だ。
国全体の税収が減っている今、ドイツから提供された情報は、国税庁にとって力強い味方である。一方、身に覚えのある富裕層の方々は、戦々恐々としているかもしれない。
リヒテンシュタインタックス・ヘイブン