
ダン・ブラウン「天使と悪魔」さながらに、欧州合同原子核研究所(CERN)が、世界で初めて反物質の封じ込めに成功した。
即座に消滅する反物質
エネルギーが物質に変わる時には、プラスの電気の粒子とマイナスの電気の反粒子が生まれる。この2つはぶつかると消滅してしまう。粒子と反粒子が同数あった場合は、どちらも消えてしまう。宇宙の誕生時には、同数あってもいいようなものだが、そうすると、宇宙自体存在しない。現在、観測可能な宇宙には膨大な物質はあるが、反物質は極めて少ない。その不均衡が素粒子物理学の謎であった。
今回、CERNの研究チームでは、強い磁場を持つ装置を作り、反水素原子の封じ込めに成功した。38個の反水素原子を10分の1秒閉じ込めたそうだ。これで、謎の解明が一歩進むかもしれない。
「天使と悪魔」では、反物質は、人を滅ぼす危険なものだったが、本当の反物質は、ほんの微量封じ込められたにすぎない。まだまだ科学には、究明すべき謎がたくさん残っているようである。
CERN反物質天使と悪魔