
9月19日、明治公園。そこには約6万人の老若男女が脱原発を掲げて集まっていた。ノーベル賞作家大江健三郎氏が呼びかけた「さよなら原発集会」である。参加者の中には、作家の落合恵子氏、経済評論家の内橋克人氏、俳優の山本太郎氏の姿もあった。
*明治公園
原発国フランスの脱原発
その数日前、原子力発電所を59基持ち、全電力の80%を原発に依存するフランスで新しい動きがあった。エリック・ベッソン産業大臣が「2025年までに原発を半減する」計画を検討中と発表したのだ。
最大野党の社会党前党首、フランソワ・オランド氏も、来年の大統領選のための社会党公認候補を決める10月の予備選をにらみ、「減原発」を唱えている。マルティーヌ・オブリー現党首は、「最終的に脱原発」の態度を取っている。
来春の大統領選の結果次第では、フランスが「脱原発」に方向転換する可能性がある。与党が勝っても、減原発の方向に進むのは間違いない。「フクシマ」の事故と、先日のフランス南部の原子力関連施設での事故が、国民感情に影響しているのだろうか。
さらに2022年までの原発閉鎖を決定しているドイツでは、18日、コングロマリットのシーメンスが、原発事業からの撤退を表明した。
ヨーロッパの国々が、早くも脱原発または減原発を唱え始めたのに、現在もっとも原発事故の影響を受けている日本では、政府の方針はまだ見えてこない。果たして、デモの効果はあったのだろうか。国民の動きより、案外、海外のトレンドが政府を動かしていくかもしれない。
明治公園大江健三郎さよなら原発集会